【流ﾚ星ﾆ願ﾋｦ】

• 63

長き時を音もなく
暗き闇を宛てもなく。

彷徨い続けし小さき君は
多様に亘りて生り象る
命溢れし常若の
光仄かに浮かび上がりし
ひと粒の蒼の貴石を見つけた。


君は一目で恋ひ焦がれ、
身体の欠片ひとつをも遺さず、
灼熱のオゾンに飛び込んでは
其の優しき蒼に包(くる)まれ
末期の尾鰭を鮮やかに牽き
身を灼き泡沫へと溶け逝く。

君の求めし最期の希みは
身を切る冷たき凍度と孤独
絶対零度の其の世界から
伸びやかな命充ち足る此の星の
優しく暖かき腕(かいな)に抱かれ
安らかなる眠りを迎えん事…


そんな君を具に見つめた
空に在りたる望月の、
羨望と憐れみ抱く
心を込めた哀歌の声は、

末期(まつご)の御空の音楽よと
君の耳に届きましたか？


夜更けの露台、星空に腰掛け
静かに鬼火を燻らせ乍ら
君の最期の命の証を
我、空に放ち証明する。

どうか此の蒼き貴石が
君に優しく在ります様にと。

【流レ星ニ願ヒヲ】 http://twitter.com/myproud_0117

• Tweet

お気に入り (0)

まだお気に入りに追加している人はいません。

コメント (0)

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか？

コメントするにはログインが必要です。フォト蔵に会員登録（無料）するとコメントできます。